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観測気球と解散

2019年6月17日
 熱気球が盛んな都城市で、操縦する人にどうやって目的地に移動するのかを聞いたことがある。というのも素人には、気球は全く風まかせで漂っているように見えるからだ。


 目的地にマーカーを落とす競技もあるので不思議だった。その人の説明では、風は一定方向に吹いているようでいて、高度や地形によって向きが変わる。熱気球は上下に移動しながら、また経験からふさわしい風を探り出して、それに乗っかって移動するという。


 ベテランは当日の気象予報図、地形図などから風向を予想できる。時には風船を飛ばして確認することもあるそうだ。なるほど「空気を読め」とか「風が来たなど雰囲気のことでも使うが、本当に風を読むには熟練の技と経験を要する。


 たくさん上がった観測気球から、解散風は吹いていないと判断したようだ。安倍晋三首相は、夏の参院選に合わせた衆参同日選を見送る方向で決めたという。解散は首相の専権事項とはいえ、前回衆院選から任期の半分も経過していないから妥当といえるだろう。


 政界の観測気球は風を読むよりも、それ自体が風を起こす目的を担っているようだ。最初の大きな気球が4月の自民党・萩生田光一幹事長代行の消費税増税延期論だった。衆院解散をちらつかせることで、与野党ともに緊張が高まった。


 解散すれば「年金不足」問題で逆風が吹く不安も首相にはあっただろう。ただ「見送り判断も観測気球、という勘ぐりも成り立つ。もはや気球というより虎視眈々とうかがうドローン。解散の嵐に備えて議員たちはいまだ警戒を緩めない。

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