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赤字路線存続に自虐ネタ

2019年6月9日
 ローカル鉄道で人気の銚子電鉄(千葉県銚子市)で全区間乗車した。といっても6・4キロ、20分の旅だ。1985年の朝ドラ「澪(みお)つくし」にも出ていたので、懐かしかった。

 車内はレトロ調に改装。犬吠埼(いぬぼうざき)などを訪ねる観光客が多いが、意外に会社員や学生もいる。港町にたたずむ終点の外川駅は裸電球が似合う古い木造駅舎。旅人らが備え付けのノートに存続への願いをつづっていた。同路線が何度も廃線の危機を乗り越えたからだ。

 大正の開業当初から赤字続き。副業で「ぬれ煎餅」を売り出して、全国から存続を求める声が高まった。最近は「(経営が)まずい棒」という自虐ネタのお菓子も販売する。車内広告を見て、人ごとならぬ地方路線の苦境に苦笑いした。

 路線の存続は、本県にとっても地域の将来を左右する問題だ。利用者の大幅増が望めない中、この難問は沿線自治体も鉄道事業者も単独では解決できない。両者が信頼関係を築いて、もっと腹を割って話し合うようにと、国(九州運輸局)は積極的に促し始めた。

 九州7県と沿線自治体、鉄道事業者らへの聞き取りやアンケートを基にまとめた報告書によると、自治体に対し「鉄道の維持に向けて危機感を持つべき」と警告する。「細々でもうちの町の列車は走るはず」と楽観視していたら危ない。

 豪雨で一部区間が不通のJR日田彦山線では復旧が見通せていない。自然災害が廃線の引き金になるのは高千穂線で痛いほど身に染みている。どうやって生活や通学の足を確保するか。被災する前から地域で十分検討しておくべきだろう。

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