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「ほがね」を補う異業種

2019年6月6日
 台風シーズンに稲刈りを避けるため、本県では早期水稲の割合が高い。3月ごろの田植えを当たり前に見掛ける。逆に今ごろの田植えを見ると、不思議に思う若い人は多い。

 今日は暦の上では芒(ぼう)種(しゅ)。「芒」はもみの回りにつく突起のような“のぎ”のこと。この日から夏至までの期間が、稲や麦など穂の出る穀物の種をまく時期とされている。むろん県内でも、普通期の田植えシーズン。水を張った田や耕したばかりの畑を多く見かける。

 宮崎市近郊の若手農家の人たちに話を聞く機会があった。酷暑の中20キロある噴霧器を背負って薬剤の散布をしたり、40度近いハウスの中で苗付けしたりするなどの作業を聞いて、今も農業に占める肉体労働の多さが切実に伝わってきた。

 農家の1人からユニークな取り組みを聞いた。計画段階のころ別の欄で少し紹介したこともあったが、市内の警備会社から労働力として3人ほど派遣してもらったという。農家が忙しいこの時期、ちょうどその警備会社は余力が生まれるため実現できたアイデア。

 といっても天候に左右される農業だから、予定通りには受け入れできない。「互いにとことん課題を出し合い、信頼関係を築かなければできない」と話す。外国人労働者の導入も検討するが、まずは地元で調達できないか考えたそうだ。

 宮崎弁で頼りないことを「ほがね」という。穂が足りないことに由来するが、天候不順による不作はお互いさまで思いやりも感じる。同じ土地で不足部分を補って、共に向上する。そんな業種の枠を超えた助け合いをもっと模索していい。

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