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微熱の愛情

2019年6月4日
 県内のクラシックファンは先日の宮崎国際音楽祭の最終公演、コンサート形式で演奏されたプッチーニの歌劇「ラ・ボエーム」の興奮から、まだ覚めやらないかもしれない。

 国内外の一流演奏家が結集したオーケストラ、声楽家らを一つにまとめ上げた指揮者が、世界的に活躍する広上淳一さん。県民にはすっかりなじみの存在だが、その広上さんが3月に「週刊医学界新聞」上の対談で、指導者に求められる姿勢について語っている。

 広上さんの組織作りと教育手法は、ほどよい距離感の人間関係を保つ「微熱の愛情」といわれ、音楽界で高く評価されている。かつては「絵に描いたような熱血指揮者」だったが、ある楽団の音楽監督を務めた時に転機があったという。

 熱心が過ぎて理事会と対立し辞任。放心状態で京都市交響楽団常任指揮者に就いたのが結果としてよかった。「微熱」が持続するような信頼関係が団員のやる気を起こし、全体の技術が向上。今は、定期演奏会のチケットがすぐに売り切れるほど人気が高まった。

 「熱血指導は、教える側が好き嫌いを前面に出す。知らないうちに相手を肯定したり、否定してしまう。相手が行動を起こす前に答えを教えるので、失敗から学ぶ機会を奪ってしまう。適度な距離感の中で、お互いを認め合う勇気を」。

 教職員の長時間労働の原因の一つに指摘される部活動の指導。休みを設けたり部活動指導員を配置するなど改善が進むが、教職員が熱心すぎて子供の負担に無自覚な面もあるようだ。微熱くらいの愛情が成績を上げることも知ってほしい。

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