ホーム くろしお

青い山脈

2019年5月26日
 教師役の原節子さんは既に世を去り、女生徒役の杉葉子さんも逝った。戦後復興期に大ヒットして青春映画の代名詞になった「青い山脈」。不朽の名作に出演した女優たちだ。

 「ああ、変しい変しい私の変人。ぼくは心の底からあなたを変しておるのです」。漢字の「恋」を「変」と間違えて意味不明になった偽ラブレターの文面があまりに有名。子どものころ誤字脱字だらけの作文を持ち帰ると親から「変しい変しい」と笑われたものだ。

 今これほど変しい否、変な日本人はそうそういない。ビザなし交流訪問先の国後島で、酒に酔い元島民の訪問団長に「戦争でこの島を取り返すのは賛成ですか」と問い「女性のいる店で飲ませろ」との趣旨の発言をした丸山穂高衆院議員。

 日本維新の会を除名され、与党からはけん責決議案を、野党6党派からは議員辞職勧告決議案を提出され四面楚歌(そか)の身である。おとといは衆院議院運営委員会が求めた理事会での事情聴取を欠席。身を引いて当然の立場のはずだが、本人は断固辞職しない構えだ。

 「青い山脈」の偽ラブレターの文面には続きがある。「悩」と「脳」も間違えて、「ぼくの胸はあなたを想う脳ましさでいっぱいです。ぼくは脳んで脳んで、脳み死ぬのではないかと思います」と書かれてあった。まさに恥の上塗りだ。

 戦後の新しい政治に期待したのだろう。「青い山脈」の登場人物に「国会で取っ組み合いする使命」という趣旨のセリフがあった。これ以上、恥の上塗りを許せば泉下の名女優たちに笑われそうだ。当の議員ばかりではない。国会もである。

このほかの記事

過去の記事(月別)