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ロシアに戦争?

2019年5月15日
 時代錯誤というよりもたぶん幼稚。これが選良の発言か。北方領土へのビザなし交流訪問団に同行していた丸山穂高衆院議員が、国後島の宿舎で元島民の団長に行った発言。

 「戦争でこの島を取り返すのは賛成ですか、反対ですか」と質問したり、酒に酔い大声で騒いだりしたという。発言内容の重大性はともかく、質問という形が狡猾(こうかつ)な印象を与える。信念があるなら、政治家として立場を明確にした上で一般人の意見を聞けばいい。

 なのに「賛成か反対か」「これはオッケーか」「戦争しないとどうしようもなくないですか」とまるで詰問。団長が「戦争なんて言葉は使いたくない」とあしらったからよかった。苦難の時代を知る高齢の団長にはとんでもない質問だ。

 仮に団長が同調していたらどうなっていたか。問題は拡大しなかったか。炎上していたら、議員は元島民に責任を転嫁していたかもしれない。そう考えると実に罪深い。国民を扇動して、了解を得た形で戦端を開いた戦前の政治家や軍部の亡霊を見る思いがする。

 北方領土返還をめぐる交渉は、ロシアの感情的な反発を招かないように政府は慎重に進めている。4島一括か、2島決着に転換か、など議論があるが、政府は態度を明確にしていない。もっと議論をオープンにすべきだという意見はある。

 “戦争”発言は国内では幼稚で片付けられても、対外的には重大なメッセージと受け止められる危険がある。交渉の行方を左右するロシア住民の感情も悪化するだろう。撤回しても責任は大変に重い。議員としてとるべき道は限られている。

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