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世界屠畜紀行

2019年2月17日
 海外諸国を歩き異文化圏の屠畜(とちく)、料理など取材した「世界屠畜紀行」の著書もあるイラスト・ルポライター内澤旬子さんがタイ旅行で体験した豚の生食について書いている。

 東北部の村に滞在していた時、農家から生きた豚を買い入れた。「豚をつぶす」と声を掛けると村人が集まり、解体を手伝ってくれたのはいいがバケツから生血をすすり、内臓の脂肪を指でちぎって食べるのに仰天した(内澤旬子著「内澤旬子のこの人を見よ」)。

 豚コレラ発生が相次ぎ全頭の殺処分が決まった愛知県田原市の養豚団地で、県が当初、19日までに完了を目指していた殺処分や死骸の埋却などの防疫作業がかなり遅れる見通しになった。処分の対象になった施設が大幅に増えたためだ。

 国の「豚コレラに関する特定家畜伝染病防疫指針」は発熱や流産などが通常以上の頻度で起こった場合、都道府県は届け出があった施設から豚など搬出しないよう指導すると定める。指針に反し愛知から長野へ県境をまたいで出荷され豚コレラはさらに拡大した。

 周知の通り豚の生食は危険で日本はもとより米国、EUでも禁じられている。タイといえど生食する場合は新鮮であることが絶対条件で、安全を確保するため目の前でつぶしながら食べる。彼らなりの「食の安全基準」は守られている。

 内澤さんが試したところ生血は「甘くて美味」だったとか。大抵の日本人は腰が引けるが目前で豚を屠(ほふ)るタイの人は豚の健康状態には敏感だ。その点はしっかり見習って一頭一頭に目を光らせたい。指針に反した甘い判断など許されない。

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