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ただより高い審議委員寄付

2019年2月11日
 食事などをおごってもらうのは、あまり好きではない。相手が見返りを期待したり、精神的な優位に立ったりする思惑がないと分かっていても、負い目を引きずってしまう。

 一般に「ただより高いものはない」。金子武雄著「日本のことわざ」によると「『お返し』をしなければ、相手に悪く言われる恐れがあり、こちらの心も済まないのがこの世の義理というもの」という。見えもあって、結局はお返しの方が高くつくことが多いそうだ。

 国の審議会の委員として業界団体や企業から寄付を受けていた国立大学の教授らは「有利に取り計らったことはない」という。お返ししないのは義理よりも高潔さが勝っているからと解しておきたいが、審議の公平さには疑義が付いた。

 都市ガス市場の規制緩和を議論する経産省の審議会と携帯電話料金値下げを話し合う総務省の審議会。研究寄付金の名目とはいえ、規制する国の側が関係団体からもらえば賄賂性がある。実際、ある業界関係者は「先生らには“注射”した」とうそぶいているらしい。

 とはいえ、大学の教授を批判するのは気が引ける。国から国立大学に支給される運営交付金は年々減少しており、教授らには企業から多くの研究寄付金を集める圧力が強まっている。ひも付きの金にも手を出したいのは心情的に分かる。

 問題は、大学を苦境に追いやった国が業界団体や企業と審議委員の金銭関係を放置している姿勢だ。「公正に行われている」と静観するが、疑われるだけで影響が出よう。審議がゆがめられたら、結局国民が「高いもの」をつかまされる。

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