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騎馬武者とジョッキー

2019年1月9日
 戦国時代の合戦を描いた小説や映画にしばしば騎馬軍団が登場する。しかし日本では何百、何千という騎馬武者だけの集団同士が激突する戦闘は、実際にはなかったという。

 17世紀末の軍団例として「日本歴史大系」(山川出版)に記されている前橋酒井藩十三万石の戦闘時の編成によると武士、徒士、小姓、足軽など5438人。この総人員に対し騎馬348騎で6・4%(早坂昇治著「馬たちの33章 時代を彩ったうまの文化誌」)。

 つまり馬にまたがる人は戦国時代のエリート中のエリート、選ばれた者たちだった。その立場を今の時代に引き継ぐのが日本中央競馬会(JRA)のジョッキーたちだ。まさに競馬界の花形的存在だが、デビューへの道は狭くて険しい。

 騎手への登竜門となるJRA競馬学校の騎手課程38期生に山下浩平さん(宮崎西中3年)が合格した。全国から110人が試験に挑み、超難関を突破できたのは山下さんを含むわずか9人(うち女子1人)だった。合格率は前橋酒井藩の騎馬比率とほぼ変わらない。

 千葉県内にある競馬学校の課程は3年間全寮制。食事制限、体重管理に耐えながら馬に関する知識や調教方法、騎乗技術を学ぶ。卒業時に維持することを求められる体重はプロボクシングの階級で最も軽いミニマム級以下という厳しさ。

 戦国の騎馬同様に下支えするさまざまな職業がある競馬界である。腕を磨きながら馬の生産から育成、調教に関わる人、夢を託し馬券を買うファンへ感謝の気持ちを持ち続けてほしい山下さんだ。そうすれば必ず自分の夢もかなうだろう。

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