ホーム くろしお

時には猪突猛進も

2019年1月3日
 つい最近、大分県竹田市の路上で起きたこと。宮崎市の知り合いが、車で集落から山道へ入ろうとしたときに車の右前部に激しい衝撃を受けた。午後5時ごろでまだ明るい。

 速度50キロ以上出ていた。前方にころがった黒い物体を丸太かと思ったが、なんとイノシシ。ダメージを受けた様子だが、起き上がり山へ走っていった。むしろ、壊れたのは車でドアに至るまでひどく損傷。かなりの修理代がかかって、知人はぼやくことしきりだ。

 今年のえとは亥(い)。イノシシだ。本県の山間部では野生を見ることも格別珍しいわけではない。とりわけ近年は、人家周辺や畑に出没する例が増えた。好物のタケノコやドングリを主に食べる彼らが、えさを求めて山を下りてきたためだ。

 背景には、開発や拡大造林で自然の森が乏しくなった山の現状がある。人工林ではえさにありつけないため、イノシシは必然的に里を目指す。サルやシカも同様だろう。駆除の対象になるが、自然環境の激変が彼ら野生動物を害獣にしたことを忘れてはならない。

 豚コレラ感染拡大の犯人としても最近は肩身が狭いが、イノシシは山の民俗と密接に結びついていることも知っておきたい。本県山間部で猟師らは、山の神であるイノシシを必要以上には撃たない。神楽ではその首をささげる所もある。

 「猪突(ちょとつ)猛進」。目標に対して向こう見ずに突っ走ること。あまりいい意味では使われない。だが今年は、国内外の政治や経済など各方面で見られる閉塞(へいそく)状況を突破する力としてあやかりたいものだ。もちろん車にぶつかってきては困るが。

このほかの記事

過去の記事(月別)