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現生人類は、原人よりましか

2018年12月30日
 10月に亡くなった漫画家石川球太さんの作品に「原人ビビ」がある。火の秘密を知るかしらに率いられた原人の群れに生まれた子が知恵を武器に過酷な世界を生き抜く物語。

 現生人類のわたしたち新人ホモ・サピエンスが現れるまでさまざまな人類種が登場しては滅んだ。たとえば猿人は親が子の手を携えて歩き、ビビたち原人はみんなで老人を介護し、旧人は死者を埋葬する習慣があった(馬場悠男監修「NHKスペシャル人類誕生」)。

 人らしい心が発達するにつれて小さくなったのが犬歯である。霊長類の犬歯は捕食のためではなく主に脅しと攻撃の道具。それが二足歩行できた最初の人類アルディピテクス・ラミダスのオスですでに退化して小さいという特徴を持つ。

 そのことから推定されるのは、人類はごく初期の猿人段階から類人猿に比べて暴力性が減少していった、ということらしい。人類学者の学説にふむふむと思いつつも相づちまでは打ちかねた。というのは世界からいっこうに戦争や紛争が絶える気配がないからだ。

 韓国海軍の駆逐艦が海上自衛隊のP1哨戒機に火器管制レーダーを照射した。韓国側が事実を認めないため防衛省は哨戒機が撮影した動画を公開した。複数回照射されたとみられる場面や駆逐艦に意図を尋ねても応答がない様子を含む。

 事実を認めて再発を防ぐことが韓国側の責務。照射の目的が脅しなら原人も驚く暴力性だ。小さな島の領有権をめぐる対立はあっても日韓には手を携え、対処すべき課題があることを忘れてはならない。猿人や原人に笑われたくなければ。

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