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ダ・ヴィンチの考えた兵器

2018年12月26日
 「モナ・リザ」を描いた画家にして天才発明家でもあったレオナルド・ダ・ヴィンチの中年時代のおもな収入源は、何千もの人間を殺りくできる兵器の設計料だったという。

 裕福な権力者を夢中にさせるアイデアを考え、設計の依頼を受けては報酬を受け取った。ただし図面は描けても当時の技術レベルでは作れないものばかりで彼の存命中、実現した兵器はなかった(ジョニー・ボール著「数学の歴史物語 古代エジプトから現代まで」)。

 政府は新たな防衛力整備の指針「防衛計画の大綱」と具体的な装備調達を進める中期防を閣議決定した。ヘリコプター搭載護衛艦の「いずも」を空母化。敵の射程圏外から反撃できる3種類の長距離巡航ミサイルの導入も進めるという。

 宇宙やサイバーなど新領域への対処が「死活的に重要」として優先強化する方針も鮮明にした。「専守防衛」を有名無実化しかねない重大な問題をはらむ新指針と中期防。今後5年間の防衛費は27兆4700億円程度と過去最大、膨大な額に膨らむ見通しである。

 ダ・ヴィンチから100年後の数学者ジョン・ネイピアも敵の船を燃やす鏡、半径1・6キロ範囲の生物を全滅させる火砲を設計したがやはり一つとして製造されたものはなかった。彼の発想を現実にできる技術力がまだなかったからだ。

 天才たちが発想した兵器を現実化することが可能になった今の時代である。だからこそなし崩し的な防衛力の拡大にはもっと慎重でありたい。中国の軍事的台頭は確かに脅威だが、兵器のみに頼らず外交力と合わせて守りたい国民の命だ。

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