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寂れていた東京

2018年12月25日
 残りわずかとなったが、今年は明治元(1868)年から150年ということで、明治維新前後の出来事を振り返ったり、現代に続く意義を検証したりする機会が多かった。

 歴史家で作家の加来耕三さん著「1868 明治が始まった年への旅」(時事通信社)がおもしろい。元年にあった出来事をカレンダーをめくるように詳述、この封建制から近代国家へ生まれ変わる大変革期に人々がどう対処したか、庶民の目線で伝わってくる。

 新政府軍と旧幕府軍の戦闘は続いていたが、慶応から明治へ元号が変わり、明治天皇も京都を離れて東京に移る。京都は一時寂れることになるが、東京もすぐに繁栄したわけではない。大名や武士たちが去って、荒涼とした風景だった。

 京都にいた官吏や公家たちに東京移住を勧めて問題解決を図ったという。それが今や全人口の約3割が東京圏に住む一極集中。是正のため、政府は82市を「中枢中核都市」として財政支援をすると発表した。周辺自治体も含めた圏域全体を活性化させる狙いらしい。

 本県は宮崎市だけ。圏域が県内全体に及ぶとは思えない。拠点都市に人口が集中して周辺部が寂れないか。しかも政府から「省庁の合同チームによる政策提言などで支援する」と言われると、ありがたさよりも口出しを心配してしまう。

 「明治元年に戻れ」とは言わないが、地方から人口を吸い上げた150年に及ぶ中央集権を検証してほしい。むろん地方からも積極的に手を打つ必要性は痛感するが、期待が外れたクリスマスプレゼントのような政府方針に戸惑っている。

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