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住宅団地のアサギマダラ

2018年11月4日
 近所に住む元高校教諭の男性が「わが家の庭にアサギマダラが来たんですよ」と話してきた。アサギマダラって? 一瞬、美しいチョウとこの住宅団地が結びつかなかった。

 高い山で見かけるイメージだったので半信半疑でいたら、スマートフォンで撮った写真を見せてくれた。「庭にフジバカマを植えたら、その花に来たんですよ」。秋の七草の一つ、と思い出すのも少し間が要ったが、何とも秋らしい取り合わせにしばし見入った。

 アサギマダラは日本で唯一「渡り」をするチョウ。秋に日本から南西諸島や台湾に渡り、春に逆のコースを戻る。数日かけて千キロ以上移動する個体もあるとか。生態には不明な点も多く、昆虫の愛好会などがマーキング調査を行っている。

 風に乗って海を越える鳥やチョウとは違って、自由に国の間を行き来できないのが労働者だ。しかし人手不足の深刻化を受けて、政府は外国人労働者の受け入れを拡大する方針を示している。2日に入管難民法などの改正案を閣議決定、今国会での成立を目指す。

 本県のような地方の介護現場や第1次産業ではネコの手も借りたいところだが、外国人労働者は言葉や文化の壁、技能の習熟度の問題、犯罪増加の懸念などで抵抗感も大きい。来る方も迎える側もウィンウィンとなる制度を設計したい。

 先の先生は「花の陰で待ち構えているカマキリはよそに追いやってます。悪いけど」と、いっときの客人を優先する考え。外国人労働者には日本のよきファンになって帰ってほしい。この団地でも彼らを普通に見る日がくるのかもしれない。

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