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小さい秋

2018年10月25日
 上京の折、時間があったので井の頭恩賜公園に行った。コナラの葉が色づき、武蔵野の秋の風情をしのんで歩いていたら、池のほとりにピアノの形をした石の彫刻があった。

 よく見たら、有名な童謡「ちいさい秋みつけた」の歌碑だった。サトウハチローの詩に曲を付けた作曲家中田喜直が近くに住んでいて、この公園を散策した折にメロディーが浮かんだとのこと。歌碑は数年前に建ったそうで、まさに秋に合う小さい発見を喜んだ。

 日中はまだ半袖で過ごせる本県も、さすがにあちこちで「小さい秋」を見つける。町中でキンモクセイの香りが漂ったり、夜にはコオロギの合唱が聞こえたり。言い習わしでは、週末にある神武大祭が過ぎると宮崎平野は秋本番になる。

 「えいえい、えいさー」。小中学校や地区の運動会からは、元気よく綱引きの掛け声が聞こえてくる。九州では綱引きは神事として行っている地方が多い。季節は夏から秋が多く、その年の吉凶を占う。例えば山側の集落が勝てば豊作、海側が勝てば大漁となる。

 核戦略を巡って世界的な大綱引きが繰り広げられている。米国は旧ソ連(ロシア)と結んだ中距離核戦力(INF)廃棄条約から離脱する方針を表明。ロシアの違反と枠外にある中国の軍備増強が理由だ。新たな冷戦に突入する恐れがある。

 新富町に説明があった新田原基地の米軍受け入れ計画も、国際的なパワーゲームと無縁ではないだろう。住民の安全が絶対条件だが、どこが勝っても凶となる核の争いには巻き込まれたくない。昨日は青色の深い秋空が冷たく感じられた。

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