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万国の上に立つ国

2018年10月10日
 万民の上に位する者はおのれを慎み、品行を正しくし、おごりを戒め、節倹に勉め、人々が「あんなに一生懸命に働いてはお気の毒」と思うほど働き抜かねばならぬと説いた。

 〈西郷隆盛の言葉〉として剣客商売などの時代小説を残した池波正太郎さんが著書の中で紹介していた(「おもしろくて、ありがたい」PHP文庫)。働き方については上に立つ者が率先して休むべし、のご時世になったがおのれを慎み、品行を正しくは今も不変。

 海の向こうの米国で「万民の上に位する者」に連邦最高裁判事が含まれるのは確実だろう。大統領職は最長でも8年という任期があるが、こちらは終身制。銃規制や人工妊娠中絶など国論を二分する課題で重要な司法判断を下す立場だ。

 トランプ大統領が連邦最高裁判事に指名した保守派のブレット・カバノー氏の人事を米上院本会議が50対48という僅差で承認した。同氏に対して女性3人が実名で性的暴行の被害を訴え、連日、抗議デモが起きるなど全米に強い拒絶反応がある中での採決だった。

 世界も厳しいまなざしを性暴力に向けている。ノーベル平和賞にアフリカで性暴力と闘い、民兵らによる被害女性の治療に尽力してきた医師と、過激派組織に拘束され生還し、性暴力根絶を訴える活動を続けるイラク人女性が決まった。

 さながら万国の上に位する国のごとく振る舞うトランプ氏の米国である。次の大統領選の試金石になる11月の中間選挙がどうなるか、世界の耳目が集まる。与党共和党の劣勢が伝えられるが先の大統領選も大方の予想とは違う結果だった。

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