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たとえ話の中の免疫

2018年10月5日
 会話の中に、しばしば「あいつには免疫がない」というフレーズが登場する。大抵の場合、からかい半分で話題にされているのは総じて純情、まじめ、いちずなタイプの人。

 素人には、まったくちんぷんかんぷんの物理、化学などのノーベル賞の理系分野だが、今回発表された医学生理学賞の本庶佑(ほんじょ・たすく)さんの業績については、何となく分かった気になった。それは多分免疫という単語がくだんの会話のように日常使われているせいだろう。

 近年は永田町や霞が関で、おかしなことがあっても「またか」という反応ばかり、さほど腹が立ったふうに見えないのは国民におかしなことに対する免疫ができたためではないか。変事が次々表ざたになっても政権は揺るがず世は太平。

 ただし胸にくすぶる不満はあるらしい。共同通信社が2、3両日に実施した全国緊急電話世論調査によると、安倍内閣の支持率は46・5%で、前回9月の調査から0・9ポイント減となった。ふつう内閣改造の直後は支持率が上がるものだが、今回はそうならなかった。

 人体をウイルスなどの外敵や、がん細胞から守る免疫は不可欠だ。だが、例えで使われる免疫の場合はないことイコール駄目ではけっしてない。純情でまじめなほど好感が持たれ、いちずな男女同士の交際がうまくいく場合だってある。

 日本人には美徳として感情を抑制する気質があるがそれも度を越せばただの我慢になる。ノーベル賞受賞のような同胞の快挙には喜び、許せないことには半端に矛を収めず怒るのが健全な世論。慣れっこという免疫力などつけないように。

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