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胸痛む光景

2018年10月1日
 きのう午前、宮崎市の市街地で、大きな箱を荷台に積んだ自転車にまたがり信号待ちしている男性がいた。妻とふたりで乗る車の揺れを感じるほど風雨が強い時間帯だった。

 「危ないな」と思った瞬間、飛んできたベニヤ板が自転車を直撃、なぎ倒された男性は道にへたりこんだ。荷は裂けて中身がむきだしに。呼び掛けに応じられないほど男性はショックを受けた様子だった。ベニヤ板は重く、頭にでも当たっていれば命はなかった。

 台風24号の接近を気にしつつ遠来の客とえびの市の矢岳高原を訪ねたのが先週金曜日。250万年前に形成された標高700メートルの溶岩台地に立つと、眼下には壮大な加久藤カルデラ盆地が広がり霧島連山を真横に近い目線で一望できた。

 素晴らしい展望に遠来の客も満足げだったが、足下には胸の痛む光景が広がっていた。硫黄山の噴火後に長江川が白濁し、一部農家が稲作を断念した区域。収穫期を迎えた稲が実る黄金色の田んぼの輝くような明るさと違い黒っぽい影に覆われているようだった。

 火山噴火、地震、津波など災害はどれも恐ろしいが、特にしつこく襲来し、県民を苦しめるのが台風だ。24号も県内における最大瞬間風速は40メートルを超え、大きな爪痕を残した。広域で浸水被害も発生した。残念なことに人的被害も出た。

 筆者はギックリ腰を患うため何も力になれなかったが男性の「大丈夫」という言葉を信じて車へ戻った。間一髪で命にかかわる大事にならなかったのは幸運だった。よほどの用事があったのだろうがあの風雨での自転車移動は無謀の一語。

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