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魔の交差点

2018年9月30日
 もちろん市民には悪名高かった。とはいえ全国のワーストとして日本中に喧伝(けんでん)されるとは思っていなかったので、恥ずかしいというより何とかせねば、という危機感を抱く。

 宮崎市・国道10号の江平五差路。昨年1年間に発生した交通人身事故は20件で、日本損害保険協会の調査では全国の交差点で最多だった。全国ではもっと交通量がすさまじい交差点はある。なのに魔の交差点となった要因には、まず巨大な五差路の複雑さがある。

 車線の指定や信号機の矢印が目まぐるしく変わる。「赤上げて、白上げないで赤下げて-」。例えは悪いが旗上げゲームを連想するややこしさ。無理に車線を変更したり、慌てて発進したり、急ブレーキをかけたりする車をよく見かける。

 事故20件のうち12件は追突。全国で事故の多い交差点を見ると、膨大な交通量に加えて車線数が多い。駅に近いのも共通する特徴。特に朝夕は送り迎えで慌ただしさが増す。いらいらは事故のもと。判断ミスの増加は高齢ドライバーの増加とも無縁ではなかろう。

 長野県で先日、レンタカーを運転していたら六差路に遭遇。西洋によくある環状交差点に改良されていて戸惑ったが、まさに「急がば回れ」。優先順位を守ると意外に楽だった。無論、江平のような巨大な交差点には合わないだろうが。

 ただ、行政当局はドライバーや歩行者の心理にまで踏み込んで安全な交差点へ改良を続けるべきだ。ドライバーも大半は危険を認識しているのだから慎重に進入してほしい。交差点は命が交錯する人間社会の縮図。譲り合いを忘れないで。

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