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法皇の人事

2018年9月28日
 自分の思うようにならないものが三つだけある。それは賀茂川の水、すごろくの賽(さい)、山法師と嘆いた白河法皇だが人事に関しては気分と愛憎に任せて、やりたい放題だった。

 「中右記(ちゅうゆうき)」を書いた右大臣中御門宗忠(なかみかどむねただ)は「法皇の御時、初めての出来の事」とした七項目のうち五項目を受領人事の弊害に費やした。受領は「黄金の国に入るようなもの」とうらやまれたほどうまみのある役職。それを誰にするかの人事で法皇は権力をふるった。

 その結果、法皇といい関係の取り巻きが受領を独占、それぞれの支配地で何をやろうとお構いなしの状態になった。当たり前のことだが秩序は乱れ、苦しんだのは地方の民だ(日本歴史・人物研究会編「日本の歴史を変えた302人」)。

 これまで伝わるところでは安倍首相は10月初旬に予定している内閣改造で、自民党総裁選を戦った石破元幹事長率いる派閥グループからの閣僚起用を見送る意向だという。石破派の現農相は交代させ、同派からの党役員登用も避けるなど人事で徹底して排除する。

 自民党総裁選で首相は石破氏に倍以上の大差をつけたが党員・党友分の得票率は6年前の総裁選で石破氏が得たとして目標にした55%に辛うじて達したものの地方を中心に伸び悩んだ。本県など10県で石破氏の後塵(こうじん)を拝す結果になった。

 白河法皇が苦手とした山法師は延暦寺の僧兵のことだ。大挙入京しての強訴に手を焼き、思うようにならないものの嘆きになったが山法師を取り込むほど度量があったら取り巻きを人事で重用して後々、批判されることもなかっただろう。

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