ホーム くろしお

カープ優勝とジョー・ルーツ氏

2018年9月27日
 広島カープの創設時の話は涙なしには聞けない。ある入団1期生は、「まともに給料をもらったことはなかった」と言い「名古屋へ行くのに貨物列車に乗った」と回想する。

 四半世紀ひたすら下位に低迷した球団を支えたのは市民だった。倒産の危機に直面すると球場に救済金集めのための酒だるが置かれた。そんな弱小球団が変わるきっかけを作ったのが球団26年目のシーズンを迎えるにあたって監督就任した故ジョー・ルーツ氏だ。

 NHKの「アナザーストーリーズ 運命の分岐点」で放映された広島カープ初優勝の年の秘話。1975年春、日南でのキャンプは休みなし、帽子の色を独断で真っ赤に変え、「赤は戦う色。優勝するんだ」と選手たちを鼓舞し続けた。

 マジック1から足踏みが続いたが昨夜、セ・リーグ2位のヤクルトとの直接対決に勝って広島カープは球団初3連覇、9度目優勝を決めた。マツダスタジアムは歓喜の渦に包まれ油津商店街のパブリックビューイングで声援を送った日南市民も喜びを爆発させた。

 「赤は戦う色。優勝するんだ」と聞いた主軸の故衣笠祥雄さんが「青くなった」というのは笑い話だが結果は言葉通りになった。だが優勝の瞬間、ルーツ氏は監督ではなかった。審判への抗議がきっかけとなり15試合で退団したからだ。

 ルーツ氏に関する衣笠さんの別な回想。「ふだんはものすごく温厚な人。グラウンドに立ったときだけ人が変わるの」。指導的立場の人の闇があぶり出される日本のスポーツ界をどう見ているだろう。強いカープのきっかけを作った人は。

このほかの記事

過去の記事(月別)