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信長の野望

2018年9月22日
 自民党総裁選は、安倍晋三首相が石破茂元幹事長を破り連続3選を果たした。実質日本のトップを選ぶ大事な選挙だが、国民レベルでは盛り上がらなかったのは残念だった。

 それでも憲法改正や社会保障などで整理された争点もあった。野党に耳を貸さない安倍首相も、党内からの問題提起には真剣に向き合っていいのではないか。特に本県では地方活性化を訴えた石破氏の票が上回ったように、格差是正には早急に取り組んでほしい。

 選挙戦で面白かったのは、石破氏による安倍氏の政治手法批判。「織田信長みたいだ」と評した。数の力を頼んで独断専行が目立つ現政権を、あらがう勢力を徹底的に排除して絶対的な権力を追い求めた信長に重ねるとは皮肉がきつい。

 石破氏自身は「本能寺の変」を起こすことはできなかった。ただ、石破氏の真意はともかく、「戦後レジームからの脱却」を掲げて改憲にまい進する安倍氏に、強引な手法で既成概念を破壊した信長のようなカリスマ性を期待する支持者が多いことも確かだろう。

 信長を任じるなら、有能な人物は積極的に登用した姿勢こそ見習いたい。森友・加計学園問題で露呈した現政権の“お友達”優先の体質からすると、むしろ取り巻きが顔色をうかがい、「忖度(そんたく)」がはびこった豊臣秀吉政権末期に似ている。

 安倍氏としては、長期政権の基礎を築いた徳川家康に例えられたいだろう。確かに理想実現へ忍耐を重ねた姿勢には通じる点がある。「天下は天下の人の天下にして、我一人の天下と思うべからず」。祝意とともに家康の言葉を贈りたい。

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