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納税は低きに流れる

2018年9月14日
 野田聖子総務相はふるさと納税制度を抜本的に見直す方針を表明した。一部自治体が高額や地元産以外の返礼品を呼び水にして多くの寄付を集めることを問題視したからだ。

 本県には寄付先として人気の自治体が多い。全国的に見て同税の恩恵に浴している方だろう。都市部から地方に金が流れる仕組みはありがたいから、存続してほしい制度ではある。ただ違反自治体の税優遇廃止をちらつかせるおどし文句には反発を覚えてしまう。

 確かに豪華な返礼品をくれる自治体に寄付が集中している現状は、同税の「故郷や応援したい自治体に寄付する」という趣旨からするとずれている。地元産と言えるか怪しい電化製品などを返礼品にした自治体も悪のりした面はあろう。

 しかし孟子曰く「水は低きに流れる」。本来人間の本性は必ず善になる、ということで「人はやすきに流れる」という解釈は誤解だが、人がおいしいもの、楽な方を求めるのは自然なこと。よほど道徳に反しない限り庶民レベルの欲得に責められるところはない。

 自治体間の競争過熱も予測できたはずだ。国は人間の性向と地方自治体の行動原理への洞察を欠いたルールを押しつけておいて、その不備については釈明せず、今さら頭ごなしに「けしからん」と怒っても、地方としてはとまどうばかり。

 「返礼品は寄付額の3割以下」とした基準も解釈の幅があったため混乱した。法規制は仕方ないが、自治体の競争をあおった揚げ句、混乱させたのは国の落ち度。きっちり責めて、新たな振興策を引き出すしたたかさが地方にあっていい。

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