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ウッド・ファースト

2018年9月11日
 飛行機と言えば金属製が常識だった第2次大戦中に木製のものがあった。英空軍の「デ・ハビランド・モスキート」。主に爆撃機だったが偵察、夜間戦闘機タイプもあった。

 ランカスター、スピットファイアと並ぶ英国軍用機の三大傑作機の一つ。1940年の初飛行で、ほぼ時速640キロ(水平飛行)を記録した。双発機としては異例の運動性能も兼ね備えた、まさに万能機だった(秋本実監修「第2次大戦 世界の戦闘機ベスト50」)。

 約80年前に、木材が金属に遜色ない素材であることを証明した飛行機の存在はマニアを除き一般にはあまり知られていない。だが、これからの木の用途を考える上で見逃せない史実。飛行機に使えるならば他にもっと利用法があるだろう。

 先日、宮崎市であった県経営者協会創立70周年記念講演会で、東京海上ホールディングス代表取締役会長の隅修三(すみ・しゅうぞう)さんが、講演の終わりに「地方創生に向けた林業改革を推進するために、日本の中高層ビルを木造建築にしよう」と呼びかけ海外の実例を紹介した。

 ウッドファーストは、何かを造る場合まず木を使うことを優先し、それが難しい場合に初めて他の材料を用いるという思想だ。欧米ではこの考え方が徹底されていてケンブリッジ大学チームは木造80階建て超高層ビルまで構想している。

 西都児湯森林管理署の新庁舎は一部に耐震、断熱性に優れたCLT(直交集成板)工法を国施設として初採用。隅さんが紹介した実例もCLTなどの新材料で建てられた。空を飛んだ大戦機に負けず空高くそびえるビルを木で。林業県の夢だ。

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