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就職戦線異状あり

2018年9月9日
 空港に到着した外国人に「どういう目的で日本に来たのか?」と尋ねて、同行取材する人気のテレビ番組がある。旅人の答えは勉強や職探しもあるが、やはり多いのは観光。

 先日見たフランスからの新婚カップルは地方で興行するプロレス巡りが目的。「そういう視点が受けるのか」と足元に眠る観光資源を見直すこともある。旅人に多いのが大学卒業後1年かけて世界中を回ったり、ワーキングホリデーで働いたりする欧米の若者だ。

 大学に合格し、入学が1年猶予できる制度を使って旅をする学生もいる。旅で見聞を広めて、将来の進路の指針にするらしい。会社への就職が年間を通してある欧米の学生から見れば、新卒一括採用の日本は不思議に映るかもしれない。

 無論、日本の慣行が強い企業体質をつくってきたのは確かだ。だが今、日本の新卒採用システムが揺らいでいる。経団連の中西宏明会長が、会社説明会や採用面接の開始時期を定めた指針を廃止すべきとの考えを示したからだ。採用活動が現在より早まるのは必至。

 大学2年生から就活が始まるともみられる。なぜ大学での成績も定まらないうちに企業は“青田買い”に走るのか。偏差値が高いとか体育会活動で実績がある大学の学生を無難な人材として確保しておこうという競争原理が働くのだろう。

 学歴社会と終身型雇用に根差す日本の採用システムを変革するのは難しい。だがいつもルール改変で翻弄(ほんろう)されている学生こそ、主役の気概を忘れないでいてほしい。まずしっかり見聞を広め学業を積む。実力を見極める企業も増えている。

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