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ベルギーの誇るもの

2018年7月4日
 サッカーのワールドカップ(W杯)で日本の対戦相手国が決まると主力選手や戦術など試合に関する情報よりまず、国情や国民は何を食べて、何を飲んでいるのかを調べる。

 きのう未明のW杯決勝トーナメントで日本が戦ったベルギーには世界一と誇る飲食物がふたつある。まずチョコレートだがノイハウス、ゴディバに代表されるチョコメーカーは最初から有名だったわけではなくオランダ、スイスのチョコの背中を追う立場だった。

 飲み物の方はビール。なにせ世界地図上では小指の爪で、探すのに苦労する小国ながら130以上の醸造所がひしめき、年間国民ひとり当たりの消費量は120リットルを超える。まさに鯨飲(小川秀樹編著「ベルギーを知るための52章」)。

 突然の監督交代や強化試合での不調が続き、大会前はしらけたムードさえ漂ったが組織力と日替わりのヒーロー登場で南米、アフリカ、ヨーロッパの強豪国と互角に渡り合い、これまでに経験のないベスト8進出さえ夢想させてくれたサムライブルーの戦士たちだ。

 ベルギー代表史上、最強とうたわれる「赤い悪魔」をあわやひと飲みかと思わせる戦いぶりを見せてくれた。2点リードした時、「勝てる」とほくそ笑んだ人は多かっただろう。FIFAランク3位の力はチョコのようには甘くなかった。

 8強の夢はビールの泡のように消えたが、世界の背中が手の届くところにあることが分かったのは収穫だ。いつか追いつき追い越す日が来るだろう。ノイハウスが3代かけて考案したボンボン・ショコラでチョコの先進国を越えたように。

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