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御田祭と知事選

2018年7月3日
 くらのない裸馬の背は滑る。雨に濡れるとまたがるだけでも難しいとか。美郷町西郷の田代神社・御田祭で馬が神田を疾走する「牛馬入れ」を、はらはらしながら見守った。

 宮崎市に住む出身者でつくる宮崎西郷会のバスツアーに参加。朝早い出発は「牛馬入れは2回あるが、馬が疲れていない朝一番が勇壮」と出身者の提言を聞いたからだ。なるほど馬がよく跳ねる。次々と乗り手を泥水に振り落として悠々と神田の中を歩いている。

 乗り手も心得たもの。1週間前に1度練習しただけというが、馬をなだめては巧みな手綱さばきで神田を駆け回る。周りを取り囲む多くの写真愛好家や見学者は泥しぶきを浴びるが、これも御利益があるとして喜んで拍手を送っていた。

 千年の伝統がある祭りという。セミの声、太鼓の音が混然と響く中、みこし行列や早乙女による田植えが粛々と進行。眺めていると平安の昔に戻った気分になる。共同体の絆が守ってきた山間部の暮らしや文化には現代の尺度では測れない価値があると実感した。

 ツアーでは同町北郷支所に宮崎市の書家井上峰雪さん(北郷出身)の書「静退以為寶」を贈った。「韓非子」にある言葉で「人の上に立つ者の守るべき道は、もの静かで控えめであることを宝とする」という意味で政治家の心構えを説く。

 確かに、人口減少が進む中で政治家には派手なパフォーマンスよりも誠実に施策を進める実行力が求められる。県知事選日程が12月6日告示、同23日投開票と決まった。関心はまだ盛り上がらないが、古里の将来像を考える機会にしたい。

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