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ゲーム障害が疾病に

2018年6月25日
 中世欧州では、恋は一種の病気として認知されていた。病気だから治療法もあったはずだが、よく分かっていない。推測するに、何かまじないをかけたりしたのではないか。

 日本でも「恋わずらい」とか「恋の病」という。例えだが、恋に限らず何でも執着の度が過ぎて他のことが手に付かなくなったら病気とみなす風潮はある。ただ「あいつはビョーキだ」と言うと、得てして差別的なニュアンスを含むから使い方には気を付けたい。

 世界保健機関(WHO)は、スマートフォンのオンラインゲームなどに依存する「ゲーム障害」を新たな疾病に追加した。病気と認定されたことで世間の理解が進み、まじないとはレベルが違う体系的な治療法が確立されていくだろう。

 東京の地下鉄で乗客のほとんどがスマホにかかりっきりという状況がある。メールやラインに熱心なものだと感心していたら、在京の知人が「ゲームの人が多いよ」と教えてくれた。「え、大の大人が」と口から出かけたが、それも差別になりそうなので黙った。

 ギャンブル依存症は既に病気とされている。ゲームは金を賭けなくてもやめられない点が違う。そういえば若いころ、テレビゲームにはまったことがあった。むなしくゲームセンターを出た世代には、気持ちの面で分かるところもある。

 テーブルに積んだ硬貨が減っていくのに、なぜやめられなかったのだろう。「次はいい点を」という強迫観念にしばられていたのか。病気のメカニズムを解明して、若者たちを青空の下に戻してあげたい。たぶん、恋の病の方がまだいい。

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