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半島の縮図描き換え

2018年6月13日
 ミクロの世界に宇宙を解明するかぎがあるようなものか。みやざきアートセンターで開催中の「みやにち夢ひろがる小品展」で、多彩なテーマに途方もない広がりを感じた。

 大作を圧縮したベテランもいれば、アイデア優先の初心者もいる。気軽に実験的な試みができるのが小品だ。事務的になるが、小品展はたくさんの作品を展示できる。大作化が進む昨今のコンクール展からすると、同じ壁で3倍くらいの作品を収容できるだろう。

 もとより1枚の絵ですべてを言い尽くせるわけではない。だが、何かしら世の中の事象を抽象する小品が膨大な数で総覧すると、世の中全体の縮図がぼんやり浮かんでくる。小品展自体が世界を表現する曼荼羅(まんだら)のようだ。同展は17日まで。

 昨日の米朝首脳会談で朝鮮半島の縮図が描き換わる可能性が見えた。第2次世界大戦後に鮮明化した東西対立の縮図。当事国の国民同士よりも大国や独裁者らがせめぎ合う構図で、冷戦終結後に世界が混とんとしても、ここは38度線ではっきり色分けされていた。

 共同声明は朝鮮戦争終結へ直接の言及はなかったが、半島の非核化や「持続的で安定した平和体制の構築」を盛り込んだ。ある程度対立の図式を弱める下絵を示したのは前進だが、まだ抽象表現が多くて具体的な将来像を示せていない。

 下絵に拉致問題解決の道筋が描かれていない点も不満だ。初めて一緒にカンバスの前に座った両国トップ。だがそれぞれが別の図を思い描いているとすれば怖い。東アジアの安定が世界平和の縮図になるように日本も積極的に関わりたい。

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