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ノストラダムスの大予言

2018年6月12日
 南仏プロバンス地方に残るノストラダムスの伝説。若き日の彼は医学部入試の口頭試問が行われる部屋に飛び込むやいなや問題も聞かず、いきなり解答をそらんじたという。

 「人間の体内には心臓と肺・胃・肝臓、精神をつかさどる…」。答えを聞いて仰天したのは黒ガウン姿の教授たちだ。後の大予言者ノストラダムスはヒポクラテス内臓論について質問されることをあらかじめ知っていた(五島勉著「ノストラダムスの大予言II」)。

 文部科学省は大阪大や京都大などの入試で出題ミスが相次いだことを受け大学入試のミス防止に向けた新ルールを発表した。試験問題や解答を「原則公表」とすることや複数回の問題の点検などを定め、全国の国公私立大学に通知した。

 従来は努力規定だった公表をルール化し、点検徹底も強く求めることで検証しやすくしミス防止や早期の発見・対応につなげる。作問者以外の教員も含め試験実施中や実施後にもチェックを求め、受験者の立場に立って、解答が導き出せるか、どうかも点検する。

 ノストラダムスの予知力を恐れた神学担当の老教授は「悪魔じゃ、焼き殺せ」と命じたがペストの研究者で、ノストラダムスの医学上の恩師となる若いベルトラン博士がそれを制した。「大変な才能だ。必ず医学にも役立ちましょう」。

 とっさの判断に救われてノストラダムスの未来は開けた。出題ミスの予知は不可能だが、その後の素早い対応で受験生の一生を左右する事態は回避できる。文科省と大学が威厳の象徴の黒ガウンを脱ぎ捨てて実施する防止策に期待したい。

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