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糠に釘の党首討論

2018年6月2日
 夏のような暑さが続き、涼しくなったと思ったら梅雨だ。「やわらかにひかりさす日の懐かしき 四季は名のみの春の短さ(稲用博美)」。確かに本県の春は瞬く間に過ぎる。

 この季節になると届くのが「ぬか床づくりを始めました」という便り。夏前がふさわしい時季とされるのは、出来上がった頃にちょうど旬の野菜が漬け込めるからだ。健康食品への関心が高まっており、天然塩や水にこだわって自家製する人は増えているらしい。

 ぬか床季節だからではあるまいが、まるで「糠(ぬか)に釘(くぎ)」。何を言っても手応えがなく、効果がない意味のことわざだが、先日久しぶりに国会であった安倍首相と野党4党首による党首討論がそんな印象で、歯がゆかった国民は多いだろう。

 当然のように森友学園問題で首相と夫人の関与についての質問が多かったが、安倍首相は真正面から答えようとしない。「問題の本質は、なぜあの値段で国有地が引き渡されたのか」「贈収賄は全くない」など焦点をはぐらかし、時間稼ぎのような答弁に終始した。

 さらに国有地売却に関する決裁文書改ざんで、大阪地検は当時関係した財務省の官僚らを不起訴にした。森友・加計問題が発覚して以来国会での追及ではらちが明かず、司法による解明を期待した国民としてはぬか雨が降り続く気分だ。

 だが安倍政権も長い春が終わりに近づいているのは明らか。相次ぐ省庁の不祥事は長期政権の末期的症状といえよう。今回は無事に切り抜けたつもりでも、自ら徹底して疑惑を解明し信頼回復に努めなければぬか喜びに終わるのは必至だ。

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