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カジノと火遊び

2018年6月1日
 人間と他の動物を分ける物差しのひとつが火を使うか使わないかだったが、ある動物園のぼやの原因がチンパンジーの火遊びだったことがあって、その定義は怪しくなった。

 入園客が投げ込んだマッチを隠し持っていて夜中に人間をまねて擦ったらしい。馬が、においをかぐときのフレーメンも俗に「馬が笑う」とされるから、笑うも何となく曖昧。井上ひさし氏によると唯一、確実なのが賭け事をするかしないかだ(「続家庭口論」より)。

 与党は衆院内閣委員会で、安倍政権が成長戦略の柱に掲げるカジノを含むIR整備法案をきょうにも採決し今国会での成立を確実にしたい考えだ。終盤国会の大きな争点とみなされている法案についての与野党の攻防が大詰めを迎える。

 カジノ営業規制など定められている法が施行されればカジノが解禁される。最大3カ所、日本人客の入場料は6千円、入場回数は週3回月10回までに限るなどギャンブル依存症を心配する国民の声に配慮した形になっているが、どれほど効果があるか疑問である。

 施設育ちの井上さんは仲間とビンゴに熱中した。賭けるのはおやつのピーナツバター付き食パン。服も食器も借り物だった子どもにとって自由になる全財産をかけたばくちで、成人後もこれ以上エキサイトする賭け事はなかったという。

 産油国の王族が一晩に数億円動かした、とか日本の政治家が億単位の借金をつくったとか、桁違いの金がたちまちあぶくになる迷宮である。火遊びから全財産を投じ火だるまになる人が続出しないか。笑おうにも笑えない事態を懸念する。

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