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ホタルと気候変動

2018年5月31日
 先の日曜日、綾町でホタル見学をした。昨年のような乱舞がなかったのは、月夜だったせいか。それでも、はぐれたホタルが川面に光を映してさまよう様子は幻想的だった。

 暗い森の中をのぞくと、かなりの数が点滅する。ピークの時期は不明だが、まだしばらくは楽しめよう。同行者にアフリカから移り住んだ男性がいて「本県に来て、最初に小林市の名所でホタルを見た時は怖かった。触ったらやけどしそうだから」と話していた。

 清流に飛び交うホタルは、水資源に恵まれた日本を象徴する光景といえよう。だが豊かな水事情を背景にした農業が世界では当然ではないことを、農業コンサルタント田中豊三さんが窓面に連載中の「世界のはしっこで」を読むと分かる。

 西アフリカのリベリアで農業教師として悪戦苦闘した記録。土地に合う作物を見つけるのに悩み、若者の教育に手こずる。今後、地球温暖化で気候変動が進むと、洪水や干ばつが度々起き、砂漠化が進展するなど農業にはますます困難な状況になるかもしれない。

 最近聞く言葉に「気候債務」がある。日本などの先進国が多く排出した大気中の二酸化炭素は温暖化を引き起こしたが、大きな被害を受けるのはアフリカの最貧国や小さな島国。先進国は彼らに回したツケを払う義務があるという考えだ。

 政府は新たな環境基本計画を閣議決定したが、取り組みは欧米より遅れ気味。地球上のどこに暮らしても大きな被害を受けるのは次の世代だ。再生可能エネルギーの推進など地域レベルから“借金返済”に努めねばホタルも見られなくなる。

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