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電子政府

2018年5月29日
 夏休み前、膨大な宿題にため息をつく児童の心境だったのではないか。学校法人「森友学園」への国有地売却を巡り、財務省が国会に提出した近畿財務局と学園との交渉記録。

 手押しの運搬車で運ばれて、予算委理事懇談会のテーブルにうずたかく積まれた文書を見ると、読むのはもちろん運ぶにも苦労しそうだった。約3千ページに及ぶ計14文書。佐川宣寿前国税庁長官が「廃棄した」と説明した交渉記録や改ざん前の決裁文書が含まれる。

 提出したのは、たまたま職員がパソコンに残していた文書など。公文書管理のずさんさは、防衛省の日報問題や旧社会保険庁の年金記録問題でも見られた。まるで宿題プリントを散らかして、紛失したり、汚したりする児童を連想する。

 昨日の衆参予算委質疑では、森友・加計学園問題の追及のほか公文書の電子化と電子決裁の移行を求める意見が目立った。行政文書、メールなど「個人メモ」を一括して保存・管理できれば情報公開もスムーズになる。記録を改ざんしても形跡が残る利点もある。

 安倍首相も法制化を進める考えを示したが、民間や地方との連携が課題だ。「電子政府」化が進む韓国では、国と地方自治体が一体となった改革を進めて「許認可プロセスがガラス張りに」「手続きや申請が楽になった」と評判はいい。

 ただどんなに電子政府化が進んでも、官僚に「公文書は民主主義の根幹を支える国民共有の知的財産」という意識が浸透しなければ、不正は繰り返されるだろう。宿題が電子化されて軽くなっても、身につくかは本人のやる気次第だから。

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