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日本海の波高し

2018年5月27日
 横浜駅からJRを利用して1時間。神奈川県横須賀市の港にコンクリートで固定された古い軍艦がある。日露戦争における日本海海戦(1905年)で旗艦だった戦艦三笠だ。

 第2次大戦後は荒廃していたが、現在は記念艦として保存されている。砲塔、煙突やマストなどは複製されていてどこまでオリジナルか分からないが、艦橋に立つと艦の規模が把握できて「ここで司令長官の東郷平八郎も指揮を執ったのだろうか」などと考える。

 「皇国ノ興廃、コノ一戦ニ在リ。各員一層奮励努力セヨ」を意味するZ旗が翻ったのはまさにこの艦上だ。今も大事な一戦を前にした号令でよく使われる名文句。三笠の機関長は日南市飫肥出身の海軍軍人平部貞一だった。海戦当時39歳。

 今日は、この海戦で日本の連合艦隊がロシアのバルチック艦隊に歴史的な勝利を収めた日。戦前まで海軍記念日だったが、廃止後も三笠記念艦では記念式典を開いている。日本海海戦といえば「本日天気晴朗ナレドモ波高シ」の発信文を思い出す人も多いだろう。

 日本海のさざ波がまた高くなった。米朝トップ会談の中止が発表されたためだ。非核化に向けた姿勢が真実か疑わしいと米国はみている。米国国務省の外交方針も一貫していないという指摘もあり、会談実施の可能性も消えてはいない。

 日本としてはもどかしいが、米国を通して拉致問題解決、北朝鮮の非核化を迫るのが現実的。交渉の糸口となるサインを見落としてないか。Z旗は本来「もう後がない」を示す国際信号という。相手の真意が読めないうちにZ旗はまだ早い。

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