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三億円事件と競馬

2018年5月26日
 白バイ警官を装った男が東京都府中市の路上で、東京芝浦電気従業員のボーナスを運んでいた銀行の現金輸送車を止め、そのまま乗り逃げした。犯罪史に残る3億円事件だ。

 府中は「日本競馬の聖地」とされる東京競馬場の所在地。犯行に使った盗難車内の遺留品に競馬の専門誌、スポーツ新聞、競馬場近くの喫茶店のマッチが含まれていたこともあり犯人は、辺りに土地カンのある競馬ファンに違いないとする臆測がちまたに流れた。

 事件から半世紀の歳月が過ぎ、目下の東京競馬場長は元宮崎育成牧場長の柿田清彦さん。高校時代からの競馬好きが高じ一橋大卒業後、JRAに就職。昨年3月から聖地トップとして「さらに親しまれる施設にしたい」と奔走している。

 柿田さんらJRA関係者の地道な改革が実って、競馬歴の長い知人によると昔と今では競馬場の雰囲気には隔世の感があるという。鉛筆を耳に挟んだおやじは姿を消し、鉄火場的な空気は一掃された。風景は家族連れが楽しむレジャーランドと変わりなくなった。

 3億円事件の犯人と競馬を結びつけるまことしやかな臆測が流れ、小説などの素材にもなったのは競馬に対する当時の偏見があったのではないか。そんなとんでもない事件を引き起こすのは一獲千金を夢見るギャンブル狂に違いないと。

 あす日本ダービーが東京競馬場で開催される。3億円事件の年は穴馬が人気の3強を抑える波乱の展開に。今夜は眠れない競馬ファンがおられるだろうが一獲千金狙いの無理な馬券の買い方は控えたい。外れても笑顔の範囲で、が鉄則だ。

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