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鶏の煮食い

2018年5月24日
 部外者には似たり寄ったりに見え、違いの分かりにくい大相撲の各部屋だがそれぞれ雰囲気も違えば、ちゃんこの味付けも違う。ただし、けいこが厳しいという点は共通だ。

 その角界にあって佐渡ヶ嶽部屋は屈指の猛げいこを誇る。かつては三番げいこ(続けて同じ相手と相撲を取る)を早朝から手首が脱臼するほどやって、ようやく一息つくことを許されたが、そこから意識朦朧(もうろう)となるまでぶつかりげいこと申し合いが続いたという。

 先代親方(第五十三代横綱琴櫻)から引き継がれる伝統。当代親方(元関脇琴ノ若)もけいこ場では鬼と化す。元大関の琴奨菊関でさえ「うちの部屋のけいこは昔ながらで本当に厳しい」と認める(佐藤祥子著「相撲部屋ちゃんこ百景」)。

 本県の大相撲ファンの視線が注がれる琴恵光関(延岡市出身)の土俵だ。東京・両国国技館で開催されている夏場所の番付は自己最高位に並ぶ東十両2枚目。きのうは大翔鵬を寄り切りで下し、9勝2敗とした。郷土力士として44年ぶりの新入幕へ期待が高まる。

 猛げいことともに佐渡ヶ嶽部屋に受け継がれている伝統のちゃんこがすき焼き風味付けの「鶏の煮食い」。割り下におろしニンニクを入れるのが秘伝の技だ。煮食いは相撲用語でもあり、ふつうの鍋の「炊く」とは違い、煮詰めて食べる。

 力士の人気献立だが作るのはいい鶏肉と卵がある日に限る。もも肉のほか砂肝、レバーも入れる。悲願がかなったら作ってみたい。県産鶏肉と卵で作れば倍増のうまさで、きっと涙がこぼれるだろう。夏場所はきょうを含めて残り4日間。

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