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コマドリとは

2018年5月15日
 昨日のような澄んだ青空が広がると、しばらくは蝶々夫人の「ある晴れた日に」を思い出しそうだ。宮崎国際音楽祭はプッチーニのオペラ「蝶々夫人」の全曲演奏で閉幕した。

 長崎市のグラバー園には、プッチーニと蝶々夫人を演じたオペラ歌手三浦環の像が立つ。すぐ近くにそびえるのが大浦天主堂。「長崎と天草地方の潜伏キリシタン関連遺産」の世界文化遺産登録が確実になった直後とあって、期せずして時宜を得た演目になった。

 本筋にはあまり関係ないが、米国に帰った海軍士官が「(蝶々夫人の待つ)長崎にはコマドリが巣を作るころ戻ってくる」という表現が興味を引いた。蝶々夫人は3回、つまり3年にわたって巣作りを確認したころ士官の船が戻ってくる。

 来日経験のないプッチーニは相当資料を集めて勉強したという。今では、九州でほとんど声を聞かないコマドリだが、西洋と日本に共通する鳥として選んだのだろう。美しい鳴き声で日本三鳴鳥のひとつ。美声が蝶々夫人の絶唱を思わせたのも理由かもしれない。

 先月亡くなった元日本野鳥の会県支部長鈴木素直さんの自分史によると「アカヒゲとコマドリの学名は標準和名とは逆。(明治期に)命名した外国人学者がこの二種を取り違えた」とか。とするとオペラのコマドリは別の鳥かもしれない。

 愛鳥週間(10日~16日)。国富町の伝承では、これからの季節、田植えが終わった後の酒宴でホトトギスが「ホンジョン(本庄の)酒じゃが、ちょくちょく」と鳴くという。身近な鳥の声から想像力を広げた各地の豊かな文化をいとしく思う。

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