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田の神さあになった稲

2018年5月14日
 長い稲作の歴史の間には、さまざまな品種が登場しては、消えていった。昔、東北地方にはその形態から「大黒」「恵比寿」という七福神の名前を持つ品種があったそうだ。

 どっちも背丈は普通の稲よりずっと低くたかだか40~50センチ程度。穂の長さ10センチ、葉も親指と人さし指を広げたくらいしかなく、米粒は縦方向の伸びが阻害され、押しつぶされたような形でほとんど真ん丸に近かった(佐藤洋一郎著「知ろう食べよう世界の米」)。

 えびの市の長江川が白濁している問題で、県は先週末、対策本部会議を設置した。河野知事は農業や観光、水質問題などの課題を洗い出すよう各部局へ指示。必要な支援策があれば6月議会に提案する補正予算案に盛り込む考えを示した。

 礒崎農水副大臣もきょう、現地視察のためえびの市などを訪れる。同市の村岡隆明市長ら川内川流域2市1町の首長と宮崎、鹿児島両県選出の国会議員、JA関係者の総勢50人以上が霞が関の農林水産省を訪ね、斎藤健農相に提出した緊急要望書を受けた動きだ。

 大黒も恵比寿も人の手でわざわざ改良されたものではなく、突然変異で出現した「かわりもの」だった。食糧としての生産性は低いにもかかわらず東北の人は、そのちんまりした姿から田の神と考え、田んぼの取水口付近に植え続けた。

 えびのの風景に欠かせない田の神像だが、人を指して「田の神さぁ」と言う場合は動かず、役に立っていないことだと地元で教わった。よく頑張っているが、さらに動きの速度を増し農家を守る大黒さまになってほしい首長、国会議員である。

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