ホーム くろしお

無責任社会にならないために

2018年5月12日
 いかりや長介さんとハナ肇さん。二人はテレビ、映画、ステージなどで活躍した国民的人気グループのリーダーとして知らない日本人はいない存在だった。だがタイプは違う。

 クレージーキャッツの植木等さんによると「ザ・ドリフターズはいかりや長介だけ大人。うちはハナ肇だけ子どもだった」とか。それでうまくいったのはコメディアンとしてのハナ肇の実力が抜きんでていたためだ(小松政夫著「昭和と師弟愛植木等と歩いた43年」)。

 難しい大人と子どもの線引きのやり直しを明治以来、初めてやろうという国だ。成人年齢を現行の20歳から18歳に引き下げ、女性が結婚できる年齢を18歳に引き上げる民法と関連法の改正。政府は2022年4月の改正法施行を目指す。

 上川法相は衆院本会議冒頭の趣旨説明で「選挙権年齢が18歳以上に改められたことなど、社会経済情勢の変化に鑑み、成年となる年齢の引き下げを行う」と述べた。高校生の一部も含む年齢で大人の責任が持てるか、持たせることができるのか、危ぶむ声も多い。

 メンバーとは一線を画す大人のいかりや長介なら心配なさそう。でも子どものまんまのハナ肇タイプは悪徳商法などの被害に遭わないか。施行の日までに「18歳成人」の課題を洗い出し、しっかりと対策を立てておく必要があるだろう。

 消費者被害は新成人に集中しやすいという。18歳がオオカミの前に差し出された子羊にならないようにするのが迎え入れる社会の責任だ。クレージーキャッツが世に送り出した流行語は多いが「無責任」だけは映画の中だけにとどめたい。

このほかの記事

過去の記事(月別)