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世界へ挑む囲碁

2018年2月12日
 将棋の棋士が対局を振り返って研究する感想戦はおなじみの光景だ。囲碁はいったん2人が別れて風呂も食事も済ませた後、あらためて集まって数時間感想戦を行うという。

 雑誌で将棋棋士の加藤一二三さんが「どちらも同じ室内の戦いで、長い伝統がある日本の文化。でも似ているようで、違うところが結構あっておもしろい」と語っていた。感想戦も「考えても答えがでないときがある」将棋よりも囲碁の方が「真理の探究」が長い。

 囲碁国内タイトルで全七冠を持つ井山裕太さんが挑んだ国際棋戦、第22回LG杯朝鮮日報棋王戦。残念ながら対戦成績1勝2敗で敗退、主要国際棋戦での初優勝はできなかった。それでも囲碁の世界に世間の関心を集めた功績は大きい。

 古代インド発祥といわれる将棋は国や地域によって駒の種類やルールが大幅に異なるが、古代中国で生まれた囲碁は黒石、白石だけを打つシンプルさ。ルールはほぼ共通だ。日本では江戸幕府が家元制度を設け、プロ集団によって戦法の研究が進んだ歴史がある。

 だからもともと国際棋戦では日本勢が強かった。1990年代初めまでは、欧米への普及活動も含めリードしていたが、中国や韓国で人気棋士が活躍。囲碁ブームが起きて、経済成長とともにプロ組織が充実すると日本の優位は崩れた。

 日本のタイトル戦は持ち時間が長い。形の美しさを重視する傾向もあり、そうした伝統が国際棋戦で不利に作用するという指摘がある。あす井山さんが国民栄誉賞を受けるのを機に、強い日本復活へ囲碁界が盛り上がることを願っている。

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