ホーム くろしお

人命を軽視する空気

2018年2月10日
 今も車で西都市にさしかかると県道で起きた事故現場を生々しく思い出す。航空自衛隊新田原基地に所属するT2ジェット練習機の墜落事故。1986年9月2日に起きた。

 乗員1人が死亡。民家2軒が炎上し住民2人が大やけど。車4台も焼失した。現場を訪れたのは2日後。辺り一面黒こげで、多くの自衛隊員が片付けを行っていた。ゴムや木の焼けたにおいが、戦場に迷い込んだ気持ちにさせる。あまりに日常と隔絶した光景だ。

 身近に基地があることは暮らしの隣に戦場があること。というと感情的だが、騒音問題だけではない近隣住民の不安が形になった格好だ。佐賀県神埼市の住宅に陸上自衛隊の戦闘ヘリコプターが墜落した現場も似た光景に言葉を失った。

 乗員2人が死亡しただけでなく、住宅にいた小学生女児らがけが。とっさに住民が退避したので、民間の人的被害が最小限に抑えられた。自衛隊も安全には相当注意を払っているはずだが、素人目にも首をかしげることが多い。例えばメインローター(主回転翼)。

 上空で脱落したらしいが、なぜ主要な部分に不具合が生じたのか。なぜ試験飛行で住宅密集地の上を飛ぶのだろう。在日米軍を含めて航空機やヘリのトラブルが相次いでいる。隊員らの殉職も痛ましく思う。彼らの命もかけがえがない。

 先月国会で米軍ヘリのトラブルを巡る質問に「それで何人が死んだ」とやじを飛ばした内閣府副大臣がいた。人命を軽視する空気が政府以下まん延していると疑念を持たざるを得ない。国民の生命と財産を守る使命から総点検を促したい。

このほかの記事

過去の記事(月別)