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自民党に自由な論議あるか

2018年2月6日
 近年に起きた企業の不祥事を見ると、経営トップの周りにイエスマンだけが集まっているとしか思えないケースが多い。不正会計が長年見過ごされてきた東芝は典型だろう。

 問題を調査した外部の識者は、背景として「上司の意向に逆らえない企業風土」を指摘していた。トップの独断専行を戒める意見が自由に言えない組織は危うい。企業でも社会的な影響は大きいが、一国の命運を左右する組織となれば見過ごすわけにはいかない。

 元衆議院議長で自民党総裁を務めたこともある河野洋平さん(81)の話を都内で聞く機会があった。河野さんは、現在の安倍1強体制の中で自由な議論が封鎖されている雰囲気を懸念。特に加速する憲法改正論議について厳しく批判した。

 「そもそも改憲は自民の党是か」と問題提起。1955年の結党時、立党宣言にも綱領にも改憲は上がっていないことを重視する。「党の政綱」にはあるが、党内論議によって削られたり復活したりした。9条についても党内でさまざまな意見が飛び交ったという。

 「本来の保守が一定数いて、乱暴な改憲論は出ないと思っていた」と硬直化する論調を危惧。さらに国民の多数が望んでいない世論調査を示し、本来権力を制限すべき憲法の改正について、権力の頂点から号令が飛ぶ手法を問題視した。

 この日、元官房長官でやはり改憲に反対した野中広務氏の訃報も飛び込んだ。党内野党のような政治家がまた去った。改憲に限らず自民党では官邸が論調を主導し、異論を排する傾向が目立つ。自由と多様性こそ魅力の党だったはずだが。

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