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巨人の星とキャンプ地宮崎

2018年2月2日
 全国の論説委員が集まる会議後に、梶原一騎原作「巨人の星」の話題になったことがある。その際、同世代の一人から「あの診療所の場所は宮崎のどこですか」と聞かれた。

 星飛雄馬が宮崎キャンプで、運命的に出会う女性が勤務する診療所のことだ。女の子にボールをぶつけてしまった飛雄馬が付き添っていた看護助手の美奈と向かった先はボンネット式バスで何時間もかかる山奥だったが具体的な地名の表示はなかったと記憶する。

 きのう付弊紙の社会面は、今年で60回目を迎えたプロ野球の巨人キャンプを写真と、キャンプを身近で見守ってきた関係者の思い出で振り返った。長嶋茂雄さんや王貞治さん、松井秀喜さんらの現役時代の打撃フォームが懐かしかった。

 巨人キャンプが始まった1959年から17年間、宿舎として利用された宮崎市のホテル「江南荘」(97年閉館)の元社長浅野文彦さんによると王さんら選手たちは、昼間はグラウンドで泥まみれになり、夜は夜で広間の畳がすり切れるほど素振りを繰り返したという。

 漫画の中の架空の診療所の所在地はどこか、今知るすべはない。ただ半世紀前の少年誌に描かれた宮崎には旧式のバスが走り、電話もない診療所と、貧しい患者からはお金は取らず、手土産のいも焼酎さえあればえびす顔の医者がいた。

 「あの診療所の場所はどこか」と問われたとき、漫画を通してキャンプ地宮崎が全国に広く浸透していたことを実感した。今春も1軍5球団と2軍1球団が集結した。球春は宮崎から、の歴史をもっと刻みたい。選手、県民一つになって。

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