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×を○に

2018年1月11日
 算数の問題。「1こ60円のケーキを5こ買いました。はこは20円です。ぜんぶでいくらになりますか」。難度はそれほど高くない。ケーキ5個の代金に箱代を足して320円。

 ところが1個60円のケーキを食べたことのなかった子どもはこう考えた。「60円もするケーキならかなり大きいはず。一つごとに、はこも一つ必要だから…」。その子は自信を持って答えの欄に400円と書き、×をもらった。遠い昔の教室であった本当の話だ。

 大阪大が昨年2月に実施した入試の物理科目で出題と採点にミスがあった。誤りについては6、8月に外部から指摘されたにもかかわらず「本学の解答が正しい」としてきちんと対応せず、12月の3回目の指摘でようやくミスが確認された。

 複数の解答が正しかったのに特定の解答のみを正解としていた。大学はミスが原因で不合格になっていた受験生30人を新たに合格とし、今年4月の入学を認めるという。日ならずして大学入試センター試験が行われるという時期になっての慌ただしい発表だった。

 問題を作成したのは学内でも非常に優秀なチームだったという。それが今回のケースではかえってあだとなった。最初と2度目の外部からの指摘は鼻先であしらわれた。大学側は思い込みがあったと弁明するが傲(ごう)慢(まん)以外の何物でもない。

 遠い昔の教室に戻ろう。勝手な思い込みをした、あほな子の弁解を聞いた女の先生は笑って×を○にしてくれたうえ後日、ケーキをごちそうしてくれた。お察しの通り筆者自身の体験なのだが半世紀たった今も胸が熱くなる恩師の配慮だ。

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