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走姿顕心

2018年1月9日
 トップランナーのフォームには頭のてっぺんと地面を結ぶはっきりとした軸があるそうだ。対して素人の走りは肩にかばんをかけた状態のように傾き、ゆがんでいるという。

 どうやっていい軸をつくるか。中高年以上なら姿勢が悪いと親から背中に定規を差し込まれた経験のある人がいるはずだが、その手の矯正法はまったく役立たない。見かけの真っすぐと走りの軸は異質なものだからだ(高岡英夫著「体の軸・心の軸・生き方の軸」)。

 きのう県内全市町村の代表選手が古里の誇りをかけて県市町村対抗駅伝のたすきをつないだ。各チームが掲げた目標は優勝とは限らなかった。過去最高、昨年の成績を上回るなどそれぞれあって中には最下位脱出を悲願とするところも。

 開会式では「走姿顕心賞」と名称変更した「躍進賞」の獲得を目指すという宣言もあった。走姿顕心は昨年4月に亡くなった小林高校男子駅伝部の外山方圀(まさくに)元監督が自らつくり大切にした言葉だ。「走る姿にこそ、その人の魂が表れる」という意味が込められている。

 名称が変更されて初めての大会は市郡の部が西都市、町村の部は椎葉村がその栄誉を手にした。現場の指導者時代を取材した記者として、厳しくも愛情あふれる人だった外山元監督の魂が賞の名称とともに未来へ受け継がれるよう願う。

 軸づくり一つ取っても奥深く、極めるのは難しい走りの世界だがスタート1区の小学男子たちの走りはゴムまりが弾むみたいに元気いっぱいで瞬く間に目の前を駆け抜けていった。外山元監督も目元を緩めて泉下から見守っていたはずだ。

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