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段々畑と子供

2018年1月1日
 さくさく。霜柱を踏む音が心の中で聞こえてくる。たぶん読者に届いていると思う弊社カレンダー「2018宮崎心(こころ)百景」。1月をめくると高千穂町の雪に覆われた棚田だ。

 同町に住んだ子供のころは冬の遊び場だった。棚田という言葉は知らず段々畑と呼んでいた。「正月はあまり出歩いてはいけない」と親に叱られながら、お笑い番組とおせちに飽きると外に飛び出した。同じような子供らが三々五々集まってきて雪だるまを作る。

 空き地や路上も大事な遊び場だ。たこ揚げ、こま、パチンコ(メンコのこと)、陣取り、缶蹴り-。その他物が無くても工夫して何か遊んでいた。相当寒かったはずだが格別気にならなかった。子供は風の子と信じていたのかもしれない。

 今も段々畑で子供の歓声は聞こえるのだろうか。田んぼの周辺にある集落の暮らしを思う。何百年も前から続く営みの尊さ。正月の休みが過ぎると霜を踏みしめ、かじかんだ手で農作業を再開する。苦労を忘れさせるのは「今年はもっとよくなる」という希望だ。

 カレンダーをめくると、なじみのある県内各地の風景が展開する。離れていても山村や海辺の思い出はあせない。都市部で生まれ育った人にも懐かしい心の古里に映るはずだ。中山間地に住む喜びも抱える問題もどこかで共有している。

 心の中の景色で県民は緩やかにつながっている。新年明けましておめでとうございます。宮崎市に本社のある弊社ですが、記者の心はいつも津々浦々、山間部を駆け巡っています。今年も県民と喜怒哀楽をともにし、一緒に問題を考えます。

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