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新元号への願い

2017年12月6日
 「修文」「正化」と聞いてぴんとくる人は元号に通じ、関心を持つ人だろう。昭和天皇崩御を受けて、有識者で構成された元号に関する懇談会に政府が示した候補案だった。

 「修文と正化は頭文字(イニシャル)が昭和のSと一緒になるため国民生活に影響が出るのでは」。懇談会の席で委員の間から出された意見だという。結果、もう一つあった候補案で、現在の年号「平成」に全員一致で決まった(「『号外』で見る戦後史」宝島社)。

 天皇陛下の退位日が2019年4月30日に決定した。皇太子さまが翌5月1日に即位、改元され昭和を受け継いだ平成は31年までで幕を閉じる。新しい元号は国民生活への影響を最小限に抑える観点から来年半ばに公表となる見通しだ。

 天皇退位は1817年の光格天皇以来、約200年ぶりのことだ。国民のだれも経験したことのない退位と即位が国民の祝福の中で行われることになる。政府は新元号の制定に当たり、カレンダーなどの印刷物や元号を使用する官公庁システムの対応も考慮する。

 1989年1月7日には二つ新聞号外が出た。「昭和天皇崩御」と「新元号は平成」。悲しいこととめでたいことが抱き合わせだったが今の天皇のお気持ちが尊重され健やかなうちに皇位が引き継がれるその日を胸を膨らませて待ちたい。

 史記などに由来する平成は「内外、天地ともに平和が成る」の意。戦争に関しては昭和の轍(てつ)を踏まずに済んだ。次の元号は何か。先の例にならえばイニシャルはHではなさそうだが込められた願いはそのまま引き継ぐものになってほしい。

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