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黒潮の大蛇行

2017年12月5日
 「くろしおが蛇行している」と聞いて「ただならぬ」と身構えたが、小欄ではなく海流の「黒潮」のこと。東海の沖合で大きく南下する「大蛇行」だ。およそ12年ぶりの発生。

 黒潮は日本列島に沿って太平洋を西から東へ流れるが、気象庁によると8月下旬以降、紀伊半島付近から大きく南へ曲がり、静岡県の250~300キロ沖から伊豆半島や相模湾に向けて北上している。これこそ「ただならぬ」と思えるが、珍しいことではないとか。

 数年から10年おきに発生し、1年以上続く。発生の理由はよく分かっていないが、問題は漁業への影響だ。潮の流れは潮位、海水温や船の燃費に関わる。実際、前回の大蛇行では静岡県のシラス漁獲量が通常の3分の1に減ったという。

 今回、本県漁業への影響はどうだろう。漁業関係者に尋ねたら「カツオもマグロも今年はよくないが影響といえるかどうか。他にも魚種によって増減があるが、漁獲が減ったとしても魚群が別の海域にいるのかもしれない」と長い目で統計を取る必要性を訴えた。

 「海の名前」(中村庸夫著)によると黒潮を本県では「上の沖潮」ともいう。古来、動植物だけでなく、多くの人や文物が黒潮に乗って南洋から運ばれてきた。大蛇行を機に、本県に黒潮がもたらした自然や文化の大きさに思いが及ぶ。

 海流がぶつかり、魚の多い潮目を漁師は読む。先の衆院選で潮目が変わった政界だが、野党はいまだ流動的な要素が多い。独自路線を貫くか、与党に対抗する大きな潮流になるか、どちらにしても蛇行を繰り返しては与党を利するだけだ。

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