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北朝鮮ツアー

2017年12月3日
 北朝鮮へ旅行した知人が身近にいる。驚く人も多いが、十数年前まで時々、観光ツアーが折り込みチラシに入っていた。彼も興味を引かれて中国から入るツアーに参加した。

 予想通り見学場所は決まっていて、建国に関わる聖地が多い。すべてガイドが付き添って、自由行動や勝手な写真撮影は禁止。一般市民とは接触できず、暮らしぶりは車窓から察するだけだ。「道路工事はすべて人力。ひんぱんに停電するが、だれも驚かない」。

 今は状況が変わったかもしれない。北朝鮮は観光を貴重な収入源にしたい意向だ。現在もツアーを組む旅行会社はあるという。だが度重なる大陸間弾道ミサイルや核開発の実験、解決しない拉致事件で訪れたいと考える人はまれだろう。

 華々しくミサイルの実験成功を宣伝する一方、厳重な情報管制が敷かれた国民の暮らしは見えてこない。米国は中国やロシアに北朝鮮への石油供給を断つよう要求している。日本とは比べものにならないくらい冬が寒いかの地で庶民の暖房は大丈夫なのだろうか。

 「文芸春秋」12月号に、在ソウルのジャーナリスト朴(パク)承(スン)ミンさんが北朝鮮の国民の携帯電話にかけて直接取材を行ったリポートがあった。本音が結構うかがえて興味深い。食料の価格上昇で苦しい生活を訴える35歳女性は自暴自棄に語る。

 「経済制裁を強めても、幹部たちは前と同じように暮らすでしょう。私たち百姓だけが死んでいきます」。ミサイルよりも観光資源の魅力を発信して相互に気軽な旅行ができる日が来れば、国民レベルでは理解度がかなり進むと思うのだが。

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